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ノベルNo.1「10(最終回)」

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1:20 覚悟を決める

「キヨミ、僕はこの結果を素直に受け入れている。
だけどね、辛くないんだ!もちろん、キヨミを残してしまうことには
凄く後悔している。これから先、いろんな思い出を作っていこうと
思っていたし、新婚旅行だって、ちょっとハプニングとかあるくらいが
楽しいかな~。なんて、あと子供は・・・」

「もう、いいよ・・・ウゥ・・・」

「キヨミ!僕の話を最後までちゃんと聞いて!
子供は二人。とりあえず男の子は欲しいな♪
そして、少しおとなしいパパはいつも子供に負けちゃうんだ。
でもね、どうやらそれは企画倒れになっちゃいそうだね。
だけど・・・だけどね、キヨミ、僕はあの時まで人生に対して、
夢や希望を持ったことなんてなかったんだ。おかしな話だけどさ、
10分経てば、なんとかなる。10分経てば何かが起きる。
そして、ごく普通に平坦な道を歩んでいく。なんの変化も求めず、
ただ“生きている”だけだった。そんな深い闇の中にいた僕を、
キヨミは照らしてくれた。人として“生きる”ことがどんなことかを
教えてくれた。僕は“生きる”事の希望が見えただけで、
凄く一分一秒満足だった!まあ、一歩ずつ死に向かっている
人間が言う台詞じゃないかも知れないけどね。」

キヨミはまた、私にかぶさって来たが、
すぐに唇を噛み締めながら体を起こした。
「キヨミはあの時太陽になりたいって言ったよね?」

(コクッ)

「今度は僕がキヨミの太陽になる番だ!
太陽に太陽は必要無いと思ってる?
僕はそんな事はないと思う。キヨミだって、
太陽のように活発に明るく振舞っているけど、
やはり月のような部分だってあることに気付くようになったよ。
人はね、誰しも、太陽であり、月であり、そして地球であると
思うんだ。だからお互いがお互いを必要とする。
だから支え合っていけるんじゃないかってね。
だから・・・だから!僕が居なくなって辛いのかも知れないけど、
僕は君の事をこれから永遠に照らし続けるから!だから・・・
今までどおり、時には太陽になり、時には月になって、
人間らしい輝きを持っていて欲しい!」

キヨミは力強く私にしがみつき、大きな声で泣いたが、
私の体に口を密着させているせいか、あまりその声は、
室内に響かなかった。
キヨミはそれから顔を上げることは無かった。

いや、僕は顔を上げた姿を確認することが出来なかった。

「5/30 1:40」

・・・あと、10分顔を見ていられたら・・・

・・・あと、10分生きていられたら・・・

・・・あと、10分・・・


(終わり)

↓ あとがき?! ↓
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「どこが・・・」

「それが・・・検査が終わる頃にはほとんどの臓器が・・・。」

「!!」

「どういうわけか、10分に一度のペースで癌細胞が増殖していきます。」

「!!!!」

癌の告知を受けたことよりもさらに衝撃的な一言だった。
もう自分とは無縁と思っていたのに、
なんら行動とは関係がなかったはずなのに・・・。
しかし、本人の意識とは関係無く、体には完全に
“10分”が刻まれていた。
振り返ってみれば、思い当たるフシがあった。
それは、“10分”の現象が起きないことで、完全に精神状態が
不安定だった時から、キヨミに救われ落ち着いてきた頃だった。
妙に咳が出たり、小さな怪我をしたり、すぐ快復したりと、
体に異変が起きていたことだった。
そして、今回癌が発症し、一気に私の体を蝕んでいったのであった。

「残念ながら・・・」

「ウワァーーーグスッグスッ!」

キヨミは僕の体にグっと抱きついてきた。

「残念ながら、今夜が・・・。」

「そうですか・・・」
せっかくこれから。という時に凄く悲しい・・・。
という感情は表向きには出てきたが、なぜだか、
この結果は素直に受け止められた。

「キヨミ、キヨミ!」

キヨミはもうあけられないくらいに腫れ上がった瞼を
懸命に開いて、僕の方を見た。
だけど、いつも明るい声はもう聞けそうに無い。

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もう完全に無縁と思っていた“10分間の現象”が牙を剥いて
完全に表面に現れた!

「ゲホッ!!」

「ん?どうしたの?むせた?」

「エホエホ!ウゲェ!!!」

(ビチャビチャ・・・)

22:30 吐血

「キャァァ!ちょっと待ってて救急車呼ぶから!」

22:40 救急車で病院へ搬送される。

0:50 緊急検査終了

「先生!サトシは?!」

「とりあえず、こちらへ来てください」

僕はまた病院のベッドにいた。
既に見慣れてしまった、天井をずっと眺めていた。

「ゲホッゲホッ!」

ふと病室内の時計に目をやると、

「え・・・1:00」

まさか・・・と、同時に病室へ担当医とキヨミが入ってきた。
あの太陽のような顔のキヨミが完全に雲がかってしまって、
激しい雨を降らせている。

「ナガイシさん・・・」

「はい・・・」

「大変・・・大変申し上げにくいのですが・・・。」

キヨミの表情と、担当医の空気を読めば、
大体の結末は分かっていた。

「貴方の身体は癌に冒されています。」

「ウゥ・・・」

やっぱりそうか、とはいえ癌だって、発生箇所や進行度によって
ある程度の治療が出来ることぐらいは心得ていた。
プロフィール

アキヒサナウ

Author:アキヒサナウ
かっこよくはなれません。

が、かっこつけます。

が、かっこつけたら、

ふざけます。

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